歯列矯正治療の最中には、金属やセラミック製のワイヤー器具を常に口の中に入れておく必要があります。これは大変に目立つもので、口を明けた時など、どうしても人に「矯正している」ということをしっかり見られてしまいます。そこで、よく歯科医師によせられる質問に、特定の行事のときにだけ矯正器具を外すことはできないかというものがあります。もし歯列矯正治療中に、結婚式など特別な行事があったりすると、写真に矯正器具付きの笑顔が残らないようにしたいものです。
結論を言うと、歯列矯正治療中に一時的に矯正器具を外すことは可能です。ですが、そのように完全に出来上がってない状態で矯正器具を外してしまうと、後に大きな問題になってしまうこともあるのです。矯正治療では、弱めの力を継続的に加えてゆくことで歯を正しい位置まで動かしてゆきます。そのため矯正装置を外してしまうと、それまでの反動もあって一気に元の位置に戻ろうとする力が出てしまうのです。
それまで長い年月を積み重ねてコツコツと動かしてきた歯が、ほんの短期間の取り外しによってあっというまに元通りになってしまうという例も珍しくありません。従って、立った数日なのだからと油断をしていると、それまでの苦労が水の泡になってしまいます。
矯正装置を外してまた付け直しをしてしまうと、通常よりもかなり長い時間が必要になってしまいます。そのため、よほどのことでも無い限り、治療中は極力器具は外さないことがおすすめです。